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<医療コラム> ダイエットで目標を達成できない場合の対処法

< LOTUS CLINIC 医療コラム >

***** 3大成人病(高血圧・糖尿病・脂質代謝異常)を指摘されダイエットに挑戦しているが、

                                                                                             目標を達成できない場合の対処法 *****

吉 田 周 平 医師

近年、年齢が上がるにつれ3大成人病に罹患する人・予備軍と指摘される人が増え続けております。ダイエットを今年の目標に掲げている方も非常に多いかと思います。

しかし、現時点で、なかなか目標を達成できていない。

何故でしょう?

まず手っ取り早く皆さんが始めるのが摂取カロリー制限ですね。最近ですと炭水化物ダイエットなどが流行かと思います。ところが、最初はりきって初めても次第に空腹感で継続が困難になり、一時の甘い誘惑(頑張っている自分へのご褒美)で高率にリバウンドするという結果に陥り、失敗に終わるという経験をされた人も多いのではないかと思います。

有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳、スポーツなど)。これを併用することで消費カロリーを増やすことができ、このような失敗を阻止することが可能です。

脂肪燃焼させるために1日30分以上の有酸素運動を頑張りましょう!!…と。

ここまでは良く聞く話なので、既に実践済み、あるいはご存知の方も多いかと思います。

しかし、有酸素運動というものは、継続すればするほど体が運動に慣れてしまい、次第に省エネ体質(エネルギーを使用しなくても身体機能を維持できる体質)に変化してゆきます。

こうなると、カロリー制限かつ有酸素運動を行ってもダイエット効果は遅かれ早かれ停滞期を迎えてしまいます。

それでは、この停滞期を打破するにはどうしたらよいでしょう?

答えは「筋トレ」になります。

筋トレすると何故、停滞期を打破できるか?

これは、筋トレで筋肉量が増えると基礎代謝量(運動しない安静な状態で人体が1日に消費するカロリー)が増えるためです。つまり、体に筋肉量が多ければ多い程、運動しなくても筋肉が勝手にカロリー消費をしてくれることになります。ただ、筋肉量は加齢により1年に約1%ずつ減少してゆきます。基礎代謝も加齢により1年に約1%ずつ減少してゆくと考えられています。

加齢に逆らって、上手に筋肉量を維持または増量することで基礎代謝低下による肥満を防ぐことができます。しかも、引き締まった外見を手に入れることができます。

我々の強い味方“筋肉”。

それでは、どの筋肉を優先的に鍛えるべきか?

人体で最も筋肉量が多い身体の部位はどこでしょう?

最も多いのは、下半身(主にお尻と太)ももです。ここに全身の70%の筋肉が集中していると言われています。2番目が背中。3番目が胸です。腹や腕の筋肉は量が少ないため、頑張って筋肉量を増やしても基礎代謝量の劇的な上昇にはつながりません。

下半身を鍛えることがダイエット成功への近道。

というわけで、ダイエットに最も適した手軽な筋トレ種目はスクワットということになります。

筋トレで太ももが太くなるのが嫌なので実践するのは気が進まないという意見をよく耳にします。しかし、その考えは誤りです。高重量のバーベルやダンベルなどで大きな負荷をかけない限り、見た目でわかる程の筋肉の肥大は絶対起こりませんのでご安心下さい。自重や軽重量負荷によるスクワットの継続で、ヒップアップが起こり太ももだけでなく腹部(腹筋)も同時に引き締まり見た目が良くなります。脂肪が減って検査値が改善します。

ダイエットに「筋トレ」。健康維持増進だけでなく美容の観点からも絶大な効果が得られます。老若男女問わずお勧めできる一品です。

 

<医療コラム> 風邪による咳に効く薬はない!?

< LOTUS CLINIC 医療コラム >

***** 風邪による咳に効く薬はない!? *****

滝 沢 美 代 子 医師

風邪をひくと、咳だけでなく、喉が痛くなったり、くしゃみ、鼻水、微熱が出たりしますが、風邪による咳はつらく、クリニックに来る患者さんの症状の中でも最も多い訴えの一つです。
今回、「Chest」というアメリカの有名な呼吸器学会の雑誌に「風邪による咳症状」について興味深い文献を見つけたのでご紹介したいと思います。

市販薬から処方薬まで、さまざまな咳止めの薬から、米国で「風邪に効く」とされているチキンスープ、のど飴、鼻洗浄といった民間療法まで、あらゆる治療法に関して米国呼吸器学会(ACCP)の専門家委員会が、今までのたくさんの研究を分析研究をしたところ、「風邪による咳に効く」という証拠(エビデンス)がある治療法は一つもありませんでした。
この分析研究の結果、風邪薬に使われている、抗ヒスタミン薬や鎮痛薬、鼻粘膜の充血を緩和する成分が含まれる風邪薬や、ナプロキセンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の試験データの分析からも、これらの薬が効くという証拠はないことががわかりました。

では、つらい咳はどうすればよいのでしょうか。この研究をまとめたMalesker氏らによると、1歳以上の小児に対しては蜂蜜にある程度の効果があるそうですが、その蜂蜜も、咳止めのデキストロメトルファン(メジコン)よりは効果は少ないとされています。
しかし、1歳未満の小児に蜂蜜はボツリヌス感染のリスクがあり、また、2歳未満の小児にはデキストロメトルファンは、副作用が出やすいことがあり、勧められていません。

また、成人の咳には亜鉛トローチが少し効くかもしれないという分析研究の結果がありますが、使用を推奨するには証拠が不十分で、亜鉛には副作用もあるため注意が必要だとしています。このほか、チキンスープや鼻洗浄、咳止め飴、胸に塗る薬といった民間療法についても効果があるという証拠は得られませんでした。

ただし、「お気に入りの飴やスープを飲んで気分が良くなるなら、そうするべき。」ですし、また、市販の風邪薬を試す場合、医師や薬剤師に相談することが望ましく、特に2歳未満の小児に薬を飲ませる場合にはかかりつけ医に相談すべきだとしています。さらに、市販されている風邪薬には眠気などの副作用があることに加え、咳止めのシロップに含まれていることの多いデキストロメトルファン、抗ヒスタミン薬のプロメタジンには乱用リスクがある点についても注意を促しています。

なお、咳と発熱が続く場合には肺炎や結核が、咳が長引く場合は軽度の喘息や慢性副鼻腔炎、肺癌、逆流性食道炎などの疾患が隠れている可能性もあるため、医療機関を受診した方が良いでしょう。

 

ケアネットより引用; 原著論文

Pharmacologic and Nonpharmacologic Treatment for Acute Cough Associated With the Common Cold: CHEST Expert Panel Report.
Malesker MA, et al. Chest. 2017; 152: 1021-1037.