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<医療コラム> 飲酒・喫煙・コーヒーと死亡率について

< LOTUS CLINIC 医療コラム >

***** 飲酒・喫煙・コーヒーと死亡率について *****

吉 田 周 平 医師

こんにちは。

皆様は普段から健康に気を遣われておられるでしょうか?

今回は、皆さんに馴染みの深い話題を取りあげてみたいと思います。

毎日のように口にされている飲酒・喫煙・コーヒーが、どの程度人体に影響を与えるかという話題です。

文献データをお示しし、私的見解を述べさせていただきたいと思います。

 

(1)飲酒と死亡率

飲酒は体に害が多く利点が少ないとお考えでしょうか?

実は、この考えは誤りです。

過去の文献 (Am J Epidemiol. 1999 Dec 1;150(11):1201-7)によると、

死亡率は「酒を飲まない人」と「毎日日本酒2合飲む人」がほぼ1%で等しく、二日に1合が最優秀で0.64%。

時々飲む&毎日1合が0.8%強。毎日4合飲むと1.3%となる。

つまり毎日4合飲めば全く飲まない人の1.3倍死に易いのです。

二日に1合ならば、飲まない人より40%も死ににくい。

血行促進、食欲増進、ストレス発散など肉体的、精神的に良い効果があり、量さえ多くなければ「酒は百薬の長」になり得るのです。

しかしながら、飲み過ぎれば肝機能障害・急性膵炎・カロリーオーバー・高血圧・意識障害などを引き起こし、死が近づく事になります。

酒は「もろ刃の剣」なのです。

禁酒より、酒は飲むべし、ただし適量で!

これが結論です。

 

(2)喫煙と死亡率

「世の中には長寿のヘビースモーカーの事例がある。俺(私)は世間の一般常識からは逸脱した例外であることを証明してやる!このままで良いのさ。」と吸っている方。私は無理にその考えを否定するつもりはありません。確かに、法則には例外があり、絶対に長生きしないとは言えませんので。

でも、過去の文献 (Jpn J Cancer Res. 2002 Jan;93(1):6-14)の統計上は以下のようなっているので、私は大切だと思う人には「やめなさい!」と強く説得することにしております。

吸わない人の死亡率を1.0とした場合の死に易さを検討している。

酒の場合とは異なり、喫煙量と関係なく、男喫煙者が非喫煙車の約1.5倍の死亡率なっているのに対し、女性は2~2.7倍の死亡率。女性の方が明らかに多い死亡率となっています。

恐ろしいと思いませんか?なんでこんなに男女で違うかは遺伝子的な違いが関与していると思いますが、明確な理由は解明されておりません。

タバコの危険性についてこの文献では以下のように書かれてあります。

①肺癌のみならず他部位の癌の発癌促進作用がある。

②ニコチンが交感神経を刺激し、高血圧になる。

③煙に含まれる一酸化炭素がヘモグロビンと強固に結合し、酸欠状態を引き起こす。副流煙で子供の発癌リスクが上昇する。

④ニコチン以外にもタールや血液細胞を冒す因子が含まれており、大変有害。

 

つまり、「タバコは百害あって一理なし」。禁煙すべし。

これが、結論です。

これを読んでもタバコをやめないと言う方は、運動・食生活の改善など体にいいことをたくさんやって、 タバコの有害作用をリセットするよう努力されることをお勧めします。

 

(3)コーヒーと死亡率

コーヒーを仕事の合間に飲んでいる方は多いと思います。

特にベトナムのコーヒーは美味しくて安く飲めるため、過剰に飲んでしまう方もいらっしゃるかと思います。

1日にどれくらいの量までなら大丈夫でしょうか?

まずは、コーヒーの利点・欠点を以下に列挙します。

 

【健康面】コーヒーのメリット

二日酔いのケア/脳の活性化(眠気防止&集中力向上)/運動能力の一時的な上昇/血糖値の低下/胃の消化の補助/整腸作用/リラックス効果/うつ病予防/脂肪の分解/ニキビの予防/美白効果/むくみ解消

【健康面】コーヒーのデメリット

胃腸障害/心機能障害/精神的な変化(鬱やイライラ)/低血糖の症状/貧血による症状

コーヒーを飲むと罹患リスクが上がると言われている疾患は、以下の通りです。

膀胱がん/胃潰瘍 など

コーヒーの発癌性に関しては、膀胱癌誘発の報告がありますが、逆に他部位の発癌(大腸癌&肝臓癌など)は抑制されるというポジティブな報告が多く見られます。コーヒーの発癌については神経質に考える必要は無いようです。

コーヒーは適量を飲めば死亡リスクが低下するほど健康的な飲料というデータが、国立がん研究センターから発表されております。10年以上に及ぶ追跡調査結果によると、1日のコーヒー摂取量によって全死亡リスクは以下のように変動しました。

摂取量                    死亡リスク

ほとんど飲まない        1.00

1日1杯未満              0.91

1日1~2杯               0.85

1日3~4杯               0.76

1日5杯以上              0.85

ほとんど飲まない人が100とすると、1日3~4杯飲む人の死亡リスクは76にまで減少。特に心疾患死亡、脳血管疾患死亡、呼吸器疾患死亡について、コーヒーを摂取するとリスクが低減することが認められています。健康面において、コーヒーの摂取は多様なメリットがあることがわかります。

しかし気になるのは、1日5杯以上を摂取している人は死亡リスクが上昇していることです。ほとんど飲まない人よりはリスクが低いものの、コーヒーの飲みすぎはデメリットがあるという説を裏付ける結果ですね。

コーヒーもアルコールと同じで、適量は有益・過剰は有害という「諸刃の剣」なのです。

コーヒーは飲まないより飲むべし。ただし、適量で!

これが結論です。

 

<医療コラム> “Jカーブ効果” 酒は百薬の長

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***** “Jカーブ効果”  酒は百薬の長!? *****

白 井 拓 史 医師

 

ことわざに「酒は百薬の長」、「酒三杯は身の薬」などとあるように、酒は適量をわきまえて飲めば、薬以上に健康のためになると昔から申します。

はてさて、実際のところはどうなのでしょうか。

みなさんはお酒の「Jカーブ効果」というのをご存知でしょうか。

グラフのように縦軸に全死亡率、横軸に1日の飲酒量をとると、全くお酒を飲まない人に比べてアルコールを飲む人の死亡率が徐々に減少します。そして、ある程度以上の量のアルコールを飲む人では、再び死亡率が増加します。

このグラフは、つまり、「適量のお酒を飲んでいる人の方が、全くお酒を飲まない人、またはたくさんお酒を飲む人に比べて最も死亡率が低い」ということを意味しています。グラフの形から「Jカーブ(効果)」と呼ばれています。

これは、アメリカ合衆国保健科学協議会で発表されました。大きな死亡原因となる心臓病に対して予防効果があるため、適量のお酒は死亡率を低下させると考えられています。

もちろん、あくまで適量のアルコールを摂取した場合の話であり、飲み過ぎは禁物です。

「酒は飲むべし、飲まるるべからず」でいきましょう!

 

※ お酒を飲まない人にお酒を勧めるということではありません、念ため。

 

【 注意喚起 】 在ホーチミン日本国総領事館より:デング熱についての注意喚起

ベトナム南部では、デング熱が発生しています。

ホーチミンの在留邦人にも罹患者が出ていますのでご注意下さい。

在ホーチミン日本国総領事館より、デング熱についての注意喚起が発信されました。
詳しくは、「ホーチミン在日本国総領事館ウェブサイト」をご覧下さい。

http://www.hcmcgj.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000293.html

 

デング熱は、デングウイルスを持った蚊に刺されて感染する病気で、ヒトからヒトに直接感染することはありません。

デング熱は、急激な発熱で発症することが多く、頭痛、眼窩痛、筋肉痛、関節痛などを伴います。また、食欲不振、腹痛などを伴うこともあります。

発熱は3~7日ほど続き、解熱する頃に胸部や四肢に発疹が出てきます。この発疹は痒みを伴うことも多く、デング熱に典型的な症状です。

 

予防としては、とにかく蚊に刺されないことが第一の予防策です。

外出時には、虫除けスプレーを使用して予防します。可能な範囲で長袖や長ズボンを着用し、室内では蚊取り線香などを使いましょう。

また、デング熱を媒介するネッタイシマカは、人の生活する場所で繁殖します。もしも家の周りに水が溜まるような場所(空き缶、貯水槽など)があるのであれば、しっかり管理することが大切です。