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<医療コラム> 飛行機搭乗と病気について

< LOTUS CLINIC 医療コラム >

***** 飛行機搭乗と病気について *****

長 谷 尚 子 医師

 

ベトナムでは珍しく4連休があったので一時帰国やプチ近隣リフレッシュ旅行をされた方も多いのではと思います。こんにちは、ホーチミン5年目当クリニック勤務して5年目になった内科医師はせなおこです。

最近、日本に帰国して手術や処置を考えるケースがありましたので飛行機搭乗と病気について簡単につぶやきます。

9000m、国際線で10000-12000mの高さで巡行するといわれています(路線によって違います)。

気圧は通常なら0.2-0.4気圧となるのでエベレスト頂上よりも厳しい環境になるので飛行機には与圧装置がありJALで0.8気圧(標高2000mの高さ)に調整されているようですが、地上よりは気圧が低くなるので、体の中の空気は約20から25%膨張します。ポテチの袋がパンパンになるのを思い出してください!体内でも同じです(怖)!

 

  • 上気道炎や副鼻腔炎

気圧性副鼻腔炎を引き起こすので風邪をひいている方は悪化するの覚悟で搭乗です。

抗ヒスタミン薬で症状緩和できる可能性がありますが、副反応で口内乾燥気味になります(泣)。

  • 虫歯

痛みが悪化する可能性があります。未治療の虫歯があり搭乗される場合は痛み止めを忘れずに。

  • 術後の方

日本で手術を受けた方は最低10日基本2週間は搭乗しないでください。副鼻腔術後は3週間搭乗禁止です。体内の空気が膨張することによって術後創付近の炎症が再燃悪化する可能性が非常に高いからです。軽度の膨張でも痛みや組織の損傷が生じる可能性があります。早く帰りたくてもぐっとこらえてください。

  • 尿用カテーテルや栄養チューブ人工肛門を装着されている方

カテーテル内に水を入れて搭乗したほうが無難です。人工肛門パックは頻回の交換が必要になるかもしれません。

  • 小児

子供は特に気圧性中耳炎をおこしやすいので飴をなめる、乳児はおしゃぶりや哺乳瓶で口を動かして耳抜きをしやすいようにできます。

  • 酸素圧低下による症状

旅客ジェット機の機内はだいたい0.8気圧に設定されていて酸素濃度低下は数パーセントなので通常の人はほとんど問題にならないのですが、貧血や心臓と肺機能が悪い方は頭痛や倦怠感を感じやすくなるかもしれません。喫煙者は搭乗数前は控えたほうが酸素低下症状が出にくくなるでしょう(慣れていたら大丈夫でしょう笑)。

  • 機内湿度低下

高高度では気温が下がり結露が発生しやすくなるので低湿度約20パーセントに設定されています。サハラ砂漠が30%だそうで、なかなかのものですね。ドライアイの方は点眼を!コンタクトレンズ装着の方は眼鏡持参を!のどが弱い方は常にマスクを!

以上、飛行機搭乗痔の飛行機環境と体の変化それに伴う注意点を簡単ですがご紹介いたしました。余談ですがボーイング787は与圧が1800mに設定されておりやや快適みたいですね。どうぞより快適な飛行機搭乗を目指してください。