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<医療コラム> 水いぼの治療戦略

< LOTUS CLINIC 医療コラム >

***** 水いぼの治療戦略 *****

片 山 雅 之 医師

 

水いぼ(伝染性軟属腫)はポックスウイルスによる感染症であり、免疫力の発達していない子供たちの体幹や四肢に出現する良性のいぼです。主に7歳以下の子供に多い皮膚の感染症です。皮膚のバリア機能が成熟した大人には感染しません。

基本的に症状はありませんが、肌の状態によってはかゆみや痛みを感じる場合があります。感染経路としては、掻いてつぶれたり、自然脱落の過程で他の皮膚にくっついて、次々と広がってしまうことが多いです。

プールに入っただけでは感染することはありませんので、基本的に禁止ではありません。浮き輪やビート板、バスタオルの共有だけ避けて頂けたらと思います。じゃれ合って遊ぶ場合は、ガーゼやバンドエイドで覆ってあげてください。

でも、そこまで対応していてもプールに入ってから水いぼが出来たりする印象はないでしょうか。それは、プールの消毒のための塩素によって皮膚表面が脱脂され感染しやすくなるためです。プール後は、しっかりと保湿クリームを使うことが予防につながります。

 

水いぼの治療についてですが、健康な子供の場合6ヶ月〜3年で自然治癒するとされていますが、個人差大きく予測することが困難です。

そのためピンセットで除去する方法や液体窒素による凍結療法を行うことが一般的かと思います。局所麻酔やペンレステープを使用してなるべく痛みを抑えてから処置を行いますが、やはり恐怖心から泣いてしまう子供が多いのが現状です。

なるべく泣かせるような方法をとりたくないという事で伝染性軟属腫専用保湿クリーム(m−BF CREAM)があります。保険適応ではないため、日本の皮膚科でも取り扱っている病院は限られてしまいます。

また、大きな水いぼに対しては外科的除去の方が治療期間は早いですが、個人的には小さいいぼの集簇やつぶれてしまったいぼに対しては効果が感じられました。現在、保険適応外であるため強く勧める訳ではありませんが、こういった選択肢も知っていただけたらと思います。