<医療コラム> 「お腹が痛い…」 旅行者下痢症
< LOTUS CLINIC 医療コラム >
***** 「お腹が痛い…」 旅行者下痢症 *****
高 橋 結 看護師
自分で言うのもなんだが、私はお腹が強い。
ベトナムで暮らし始めて早5年。
食中毒の様な下痢になった事がない。
私の腸内細菌は最強だ。と思っていた。
なので油断していた。
インド旅行3日目。朝から猛烈な吐き気と下痢。冷や汗がでる。
トイレから出れない。
タージマハルを観に行ったが、最優先事項はトイレの場所確認。
もちろん記念に写真も撮ったが、引きつり笑顔。
食事も摂れず、友人が買ってくれた小さいコップ1杯のチャイが身体に染みた。
その後も体調は優れないまま。カレーの香りさえも遠ざけたい。
そんな状態でインド旅は終了した。
この症状「旅行者下痢症」と呼ばれるらしい。
これはインドに限らず、ベトナムでも起こり得る。現に、当院の外来には旅行者の多くがこの症状で訪れる。
旅行者下痢症の原因は、細菌、ウイルス、寄生虫のいずれによって引き起こされる。
最も一般的な原因として、大腸菌やノロウイルス感染症があげられる。これらは、浄水設備が十分に整備されていない地域の水道でよくみられ、したがって発展途上国を訪れた旅行者によくみられる。
症状は、汚染された食物または水を摂取してから12~72時間後、吐き気や嘔吐および下痢が始まる。重症度は様々である。発熱および筋肉痛がみられる場合もある。大半の人は軽症で自然治癒するが、脱水が起こる場合もあるので注意が必要。
予防法は、ボトル入りの飲料水だけを飲む。加熱調理されていない野菜や果物を避ける。氷は使わず、歯磨きにはボトル入りの水を使うことなどです。
治療としては、安全な水分を十分に摂取し、ときには下痢止め薬や抗菌薬を服用し、必要時は点滴をします。
せっかくの楽しい旅行が、旅行者下痢症になることで、楽しさが半減してしまいます。
私は今回の旅で痛感しました。油断大敵です。
皆さんも、自分のお腹を過信せず、予防対策をして旅を楽しみましょう。