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<医療コラム> 虫下しは必要?ベトナムの寄生虫感染症

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***** 虫下しは必要?ベトナムの寄生虫感染症 *****

佐野  夏 帆 医師

 

Covid-19による規制が緩和してきて、新しく赴任される方も増えてきましたね。

私は今年でベトナム5年目になりますが、日本では普段なかなか診療しなかったけれど、こちらでは珍しくない疾患がいくつかあります。寄生虫感染症もその1つです。

駐在の方の口コミで「半年に1度虫下しを飲む」「帰任前に虫下しを飲んで帰国する」みたいな話がありますが、こちらについて外来でよく質問を受けたり、内服希望される方がいます。

寄生虫は種類が多く、症状もそれぞれの寄生虫によって多彩です。昔は日本でも小学校で一斉検査していたぎょう虫、お尻が非常に痒くなります。またこれは日本でも時々遭遇しますがアニサキス、尋常でない胃痛が出るのが有名です。その他、胃腸炎症状や腹部膨満感が出る寄生虫、胃腸だけに限らず皮膚症状を出すもの、色々な臓器に影響が及ぶものや、無症状のものもあります。

 

時々勘違いされている方もいますが、「半年に1度虫下しを飲む」ことで半年間寄生虫にかからないわけではありません。どの薬も作用時間・半減期などがありますので、当たり前ですが1錠で半年も薬の効果は続きません。逆に半年間でもしかしたら身体にいるかもしれない寄生虫を下すイメージかなと思っています。そういう意味と理解され、定期的に飲まれるのも1つかもしれません。

ただ本当に感染していたら、1錠内服するだけでは足りません。また抗寄生虫薬は種類があり、一般的に言われている「虫下し」が全寄生虫に効果があるわけではありません。寄生虫の種類によって治療薬や治療期間などが変わりますし、例えば先程のアニサキスの治療は内視鏡治療であるように、治療法も種類によって違いますので、しっかりと受診が必要です。

さて、そんな私もベトナム生活の中で寄生虫による胃腸炎にかかったことがあります。旅行中に食べたシーフードなのか胃腸炎が治らなかった時です。症状経過からこれはそうに違いないと寄生虫の薬を内服したところ、本当にすーっと良くなっていくのを感じ、さすがに自分でゾッとしました!

ベトナムでは身近な寄生虫、ちょっとこわいお話ですが、頭の片隅に、何かお困りのときは相談にいらしてください。