<医療コラム> 熱中症 しっかり暑さ対策を
< LOTUS CLINIC 医療コラム >
***** 熱中症 しっかり暑さ対策を *****
白 井 拓 史 医師
日本でも暑い夏の季節は、テレビや新聞でも熱中症に関する記事や特集を目にする機会も多いですね。日本よりも高温多湿のベトナムでは、日本以上に熱中症に注意が必要です。
戸外だけではなく、屋内で発症することもあり、重症化すると命に関わることもあるので正しい知識を持って予防しましょう。
熱中症は高温・多湿下で発生する病気の総称で、体の中と外の「暑さ」によって引き起こされる体のさまざまな不調です。
人間の体には、もともと体温調節機能が備わっていて、汗をかく際におこる気化熱の作用で体温を下げています。しかし、体温よりも気温が高かったり、湿度が高いと汗をかいても蒸発しにくくなり、気化熱による体温低下が起こらなくなります。熱中症は、このような体温を調整する機能がコントロールを失って、体温が上昇してしまう一種の機能障害です。
では、どのような時に熱中症になりやすいのでしょうか。
もちろん暑い日に起りやすいのですが、それ程気温は高くなくても湿度が高いと汗による熱の発散ができなくなるため起りやすくなります。また、前日よりも急に気温が上がった日も要注意。午前中では10時頃、午後では13時から15時頃に多く発症しますが、暑い季節は、朝や夕方にも起ることがあります。
幼児や高齢者は体力が低く熱中症になりやすいと言えます。また、肥満傾向の人は起こしやく、睡眠不足や下痢による脱水、発熱などがある人もなりやすくなります。
早期発見・早期治療のためには熱中症の症状を知って、重症なのかどうか判断することが重要です。
軽症では、めまいや立ちくらみといった症状がみられます。足がつったり、足の筋肉や腹筋が痙攣して痛みが生じることもあります。これは、多量の汗をかいたあとに、水分だけを補給した時に起こりやすいです。中等症になると、強い疲労感、虚脱感、頭重感などが表れます。また、失神、吐き気、おう吐などの症状も出現します。
呼びかけに対して反応がおかしかったり、意識がはっきりしない場合は、重症です。直ぐに医療機関に行って治療を始めなければ命に関わることになります。
熱中症が疑われる場合には、早め早めに対応することが大切。日陰や室内など涼しいところに移動して、衣類を緩めて休ませます。脱水に対して水分を補給するのですが、水やお茶だけでは塩分が不足するため塩分を含んだスポーツドリンクなどが望ましいです。塩飴や梅干しなどで塩分を摂るのも良いでしょう。
タオルやうちわ、衣服などを使ってあおぎ、風を送って体を冷やしてやります。氷や冷たい水でぬらしたタオルを首筋や太い血管のある脇の下や足の付け根に当てて体温を下げます。
吐き気、おう吐がある場合は水分補給ができないため、医療機関で点滴を受ける必要があります。反応が鈍い、意識がはっきりしないなどの症状がある時にも、至急病院に連れて行って下さい。