<医療コラム> インフルエンザワクチン Q&A
< LOTUS CLINIC 医療コラム >
***** インフルエンザワクチン Q&A *****
白 井 拓 史 医師
今年もインフルエンザ予防接種が始まっています。インフルエンザワクチンに関する様々なことをQ&Aに纏めてみました。
Q: 今シーズンのインフルエンザワクチンはどのようなタイプですか?
A: ベトナムで接種が始まったインフルエンザワクチンは、A型2種類とB型2種類の4種類の株が含まれた4価のワクチンです。
ワクチン名:Influvac TETRA(オランダ製)
・A型:Victoria/2570/2019(H1N1)pdm09-like strain
・A型:Darwin/9/2021(H3N2)-like strain
・B型:Austria/1359417/2021-like strain
・B型:Phuket/3073/2013-like strain
Q: インフルエンザワクチンはすぐに効果が出るのでしょうか?
A: 接種後すぐには効果は現れません。通常、効果が現れるまでに約2週間程度かかります。そして、その効果は約5ヶ月間持続するとされています。ですので、日本に帰国する予定がある方は、帰国2週間前までに済ませておくことが望ましいです。
Q: ベトナムで接種したワクチンは日本でも有効ですか?
A: WHO(世界保健機構)は、インフルエンザウイルスの定点観測を行っており、その年に流行るインフルエンザの株を発表しています。各ワクチンメーカーはその流行株の予想をもとにワクチンを製造するので、どこの国で接種するワクチンも同じ型の株が含まれていることになります。ですので、日本以外の国で接種したワクチンも日本でのインフルエンザ予防に有効です。
Q: ワクチンは毎年接種しなければダメですか?
A: 流行するインフルエンザウイルスの型は毎年変化します。ワクチンもその流行が予想されるウイルスの型に合わせて毎年新しいものが製造されています。なので、昨年接種をしていても毎年接種する必要があります。
Q: 卵アレルギーのある人もインフルエンザワクチンの接種ができますか?
A: 卵アレルギーの程度にもよりますが、多くの場合問題なく接種できます。インフルエンザワクチンは、製造過程に鶏卵を使います。そのため、極わずかながら卵由来成分がワクチンの中に残って、それによるアレルギー症状がまれに起こることがあり得ます。重篤な卵アレルギーのある方、卵成分でショックを起こしたことがある方は、医師とよく相談の上、接種するかどうか決めて下さい。
Q: 妊婦は接種を受けることができますか?
A: インフルエンザワクチンは病原性をなくした不活化ワクチンであり、胎児に影響を与えるとは考えられておらず、妊婦に接種した場合に生ずる特別な副反応の報告はありません。日本では、「予防接種によって得られる利益がインフルエンザの危険性を上回ると考えられた場合に接種を行う」ということになっています。米国では、妊婦がインフルエンザを発症すると重症化し易いので、妊娠の初期(妊娠13週前後まで)を除いた時期に行うのが望ましいとされています。ワクチン接種を希望される場合は、まずは医師と相談下さい。
Q: 授乳中にインフルエンザワクチンの接種はできますか?
インフルエンザワクチンが、母乳を通してお子さんに影響を与えることはありません。ですので、授乳中にインフルエンザワクチンを接種しても問題はありません。小さなお子さんをお持ちのお母さんは、お子さんにインフルエンザを感染させてしまわないようにするためにも予防接種をされることをお勧めします。
Q: インフルエンザワクチンにはどんな副反応がありますか?
A: 注射部位の発赤、腫れ、痛みなどをおこすことがありますが、2~3日で消失します。また、わずかながら熱が出たり、寒気がしたり、頭痛、全身のだるさなどがみられることがありますが、これらも同様に2~3日のうちに治まります。インフルエンザワクチンの副反応の多くは24時間以内に出現しますので、特にこの間は体調に注意しましょう
Q: インフルエンザワクチンを接種した日は、お風呂に入っても良いですか?
A: 入浴は差し支えありません。ただし、注射した部位を強くこすらないようにしてください。接種した日は、基本的にいつもどおりの生活をしていただいて構いませんが、激しい運動や飲酒は避けてください。