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<医療コラム> 咳のメカニズムと予防対策

< LOTUS CLINIC 医療コラム >

***** 咳のメカニズムと予防対策 *****

リッケンバッカー 和代  看護師

 

咳は、気道に異物が入るのを防ぎ、気道内から異物を取り除こうとする体の防御反応です。

ほこり・ウイルス・煙などの異物が侵入すると、気道の粘膜にある咳受容体が反応し、咳が出ます。また、咳には痰(たん)を出す役割もあります。痰は、肺に侵⼊しようとする異物をからめとって体外に排出する粘液の一種です。風邪・気管支炎・喫煙・肺がんなど、さまざまな原因で痰が発生します。

咳1回につき、約2kcalを消費すると言われており、ひどい咳が続くと体力を消耗し、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。強い咳は筋肉痛・肋間神経痛・肋骨骨折を引き起こすことがあり、夜間に出る咳は不眠の原因にもなります。

咳は、症状が続く期間により大きく3種類に分けられます。

急性咳嗽(きゅうせいがいそう)

急性咳嗽は、3週間以内でおさまる一時的な咳のこと。急性咳嗽の原因の多くは、風邪・インフルエンザなどウイルス性の呼吸器感染症によるものです。これらの感染症が治癒すると共に咳の症状も落ち着きます。

遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)

遷延性咳嗽は、3~8週間ほど続く咳のことです。遷延性咳嗽の原因は多岐にわたりますが、風邪などの感染症による発熱・倦怠感などの症状が軽快し、咳の症状のみ残るケースが多くみられます。

慢性咳嗽(まんせいがいそう)

慢性咳嗽は、8週間以上続く慢性的な咳の症状です。遷延性咳嗽や慢性咳嗽などの長引く咳は、喘息・肺炎・肺結核・肺がんなど重篤な疾患の症状である可能性もあるため、注意が必要です。

目安として、3週間以上咳が続く場合は医療機関で咳の原因を特定し、適切な治療を行う必要があります。

 

咳の原因

咳の原因や、咳の症状がみられる疾患は以下の通りです。

  • 異物(ほこり・ウイルス・煙など)の気道への侵入
  • 大声の出し過ぎなどによる喉の炎症
  • 呼吸器感染症(風邪・インフルエンザなど)
  • 喘息
  • アトピー
  • 気管支炎
  • 花粉症
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 肺炎
  • 肺結核
  • 肺がん
  • 肺血栓塞栓症
  • 副鼻腔気管支症候群
  • 胃食道逆流炎

 

予防対策

部屋の湿度を40~60%に保つ

部屋の空気が乾燥している場合は加湿して、気道の粘膜のうるおいを維持することが咳の予防に効果的です。喉や気道の粘膜が乾燥すると、異物を追い出す繊毛の働きが鈍り咳が出やすくなります。

冬場やエアコン使用時など特に空気が乾燥するシーンでは、加湿器を使用して部屋の湿度を40~60%に保ちましょう。加湿器が使えない場合、濡れたタオルや洗濯物を部屋に干しておくだけでも湿度が上がります。

また、空間を過湿することに加え、こまめに水分補給して喉のうるおいを保つのも席予防に効果的です。

 

マスクをする

マスクは、咳の原因となる冷たい空気・ほこり・煙などをブロックしてくれます。喉の乾燥予防にも効果的なので、乾燥する場所やほこりの多い場所ではマスクを付けるのがおすすめです。

マスクには風邪などのウイルスの飛沫感染を防ぐ効果もあるため、人混みに行くときはマスクを着用するようにしましょう。

うがいをする

うがいは、喉に付着した異物を洗浄して取り除く効果があるほか、気道を守る粘液の分泌や血行を促進する効果もあり、咳の予防・改善に有効です。

外出先から帰宅したときや、掃除などでほこりを吸い込んだあとは、こまめにうがいをするようにしてください。

喉元を冷やさない

喉元が冷えると繊毛運動が弱くなり、気道に異物が入りやすくなります。咳を予防したいときは、首や喉を冷やさないように心がけましょう。

タートルネックなど首までカバーできる衣服や、マフラー・ストールなどで喉元を保護するのが効果的です。

こまめに掃除する

アレルギー性の咳は、ほこり・ダニ・カビ・ペットの毛・ハウスダストなど、家のなかにあるアレルゲンが原因で引き起こされるケースも多くあります。

咳の原因となるアレルゲンを取り除くため、こまめに家を掃除するようにしましょう。

一時的な咳の原因のほとんどは風邪などの感染症によるものですが、日常生活に支障が出るほどひどい咳が出たり、症状が2週間以上長引いている場合は、自己判断せずに医療機関を受診するようにしましょう。