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<医療コラム> 尿検査で異常、何がどう悪いの?

< LOTUS CLINIC 医療コラム >

***** 尿検査で異常、何がどう悪いの? *****

佐 野 夏 帆 医師

ベトナムでの生活では、日本にいる時以上に健康について気になりますね。そこで多くの皆さんが健康診断を受けているかと思います。

健康診断で必ず受けるのが尿検査ですが、どんな事をチェックしているのでしょう。

採血では肝機能や脂質など、異常があれば何が悪いのか分かりやすいですね。それに比べ尿検査では尿潜血だの尿蛋白だの、それが一体どんな異常なのか分かりづらいです。

そんな尿検査について、今回少しお話させて頂きます。

そもそも尿とは、腎臓という臓器で、血液中の過剰水分や老廃物から作られます。腎臓で尿が作られると膀胱に運ばれます。膀胱で尿がたくさん貯まると、皆さんが毎日経験している通り、尿意が出て、排尿に至るのです。

検診の尿検査で、引っかかる人が多いのは、潜血、蛋白、糖、白血球あたりかと思います。これらについて見ていきましょう。

 

まずは分かりやすい糖についてです。尿に糖が出る、これは血液中に糖が過剰にある糖尿病などで起こります。尿糖が出た方は、合わせて採血結果で血糖やHbA1cなど糖尿病の項目をチェックしましょう。

次に白血球です。これは尿道炎、膀胱炎、腎盂腎炎など、尿が作られてから排尿されるまでのどこかで細菌感染がある場合に認めます。ただし、これらの感染がある場合、通常は症状を伴います。感染症状がないけれど健康診断で尿中白血球を認めたという場合は、尿採取の段階で少し菌が混ざったなど、あまり有意な所見ではないかもしれません。実際感染がある場合は治療が必要ですので、感染症状のある方はもちろん、症状のない方も、尿白血球を認めた方は、再検査で確認してみましょう。

さて、では尿潜血、尿蛋白についてです。検診の尿検査では特にこの2つの項目が重要になります。というのも、これらが出る病気があるのですが、その病気は初期には無症状なのです。

どの臓器の病気かというと、尿を作る臓器、腎臓です。腎臓は胃や心臓に比べてあまり馴染みがない臓器かと思いますが、大事な役割をしている臓器です。腎臓の病気はお子さんから大人まで全年齢で起こる可能性があります。中には尿潜血を出しやすいもの、尿蛋白を出しやすいもの、両方出るものなど色々な疾患があり、いずれも初期では無症状なことが多いです。なので、気がついたときには腎機能が低下してきていた、最終的に透析が必要になった、とならないように、尿検査が大事になります。なお、特に中高年の方の尿潜血では腎・尿路系の腫瘍も原因になります。こちらも心配な病気ですね。

とは言っても、健康診断ではあまり心配のない尿潜血・蛋白も多いです。例えば運動後など、普段出ていない潜血や蛋白が出ることがあります。再検査では出ていないような場合は何か病気がある可能性は低くなります。ただし今後増える可能性はあるので健康診断等で定期的なチェックは続けましょう。また女性では生理の出血が混入することもよくあるので、採取の日程は気をつけましょう。

尿検査について、少し理解が深まって頂けたでしょうか。尿異常を指摘された方、まずは再検査を受けてみましょう。再検査でも陽性の方は更に詳しい検査が必要になります(当院でも可能です)。

そういえば毎年健診で異常を言われてたけど、詳しく調べたことはなかった、という方は特に、是非一度尿の精査を受けてくださいね。